【何年も治らないニキビ】私がイソトレチノインをすぐ勧めない理由 | 福岡県福津市の『よしき皮膚科・形成外科』(アトピー性皮膚炎・巻き爪の治療、美容脱毛など)

診療所日記

【何年も治らないニキビ】私がイソトレチノインをすぐ勧めない理由

【何年も治らないニキビ】私がイソトレチノインをすぐ勧めない理由

おはようございます!よしき皮膚科・形成外科、院長の吉木です。

それでは本日の診療所日記をお届けいたします!

今回はお盆休みということもあり、ややボリュームの多い内容となっていますがその分かなり有益な情報となっていると思います。

特にニキビでお悩みの方はぜひ読んでみてください!

治らないニキビ

「また同じところにニキビができてる」——鏡を見るたびに、そんなため息をついていませんか。

塗り薬を毎日欠かさず使って、皮膚科で処方された抗生剤も飲みきって、それでも赤く腫れたニキビが繰り返しできてしまう。市販のスキンケアも一通り試したけれど、良くなったと思ったらまた新しいニキビができる。そんな状態が何ヶ月も、人によっては何年も続いている方は、決して少なくありません。

当院でもでも、ニキビ治療はまず保険診療を中心に考えています。外用薬や、必要に応じた抗生剤の内服。保険で受けられる治療の範囲で、実際にほとんどの患者さんはしっかり良くなっていきます。ただ、正直にお話しすると、それでもどうしても改善しきらない、いわゆる難治性のニキビの患者さんが、数パーセントいらっしゃるんですよね。

実際にネットの声を見ても、美容皮膚科での治療でニキビ肌が劇的に改善したのに、通院が終わると元の状態に戻ってしまった、という経験談は少なくありません「一時的には良くなるけど、結局また同じことの繰り返し」——そんな徒労感を抱えている方に向けて、今回の診療所日記を書いています。

なぜ今まで解決できなかったのか

なぜ、これだけ頑張っているのに、なかなかニキビが治らないのか。理由の一つは、治療の「途中でのブレ」にあります。副作用への不安や、思うように効果が出ないもどかしさから、指示された量より少なく使ったり、途中で自己判断でやめてしまったりすると、期待した効果が得られず、結果的に再発しやすくなることが報告されています。

そしてもう一つ、そもそも「次の一手」に踏み出せない理由があります。それがネット上やSNSで見かける「うつになる」「一生肌が乾燥する」といった副作用に関する噂です。実際、ある種の飲み薬とうつ・自殺念慮の関連は長年議論されてきたテーマで、多くの方が「怖い」と感じる最大の理由になっています。

治らない理由と、怖くて踏み出せない理由。この両方があるからこそ、多くの方が長い間、一人で悩み続けてしまうんですよね。

ここから先では、日常の診療の中で「最後の手段」として位置づけている治療法について、正しい使い方、絶対に避けるべき危険な飲み合わせ、そしてSNSの噂一つひとつの真偽まで、出典とともに整理してお話ししています。読み終えたときには、噂に振り回されず、自分の状態と照らし合わせて次の一歩を判断できる状態になっているはずです。

イソトレチノインとは・当院の位置づけ

イソトレチノインは、皮脂の分泌を強力に抑え、毛穴の詰まりと炎症を改善する内服薬です。世界的には1982年にアメリカFDAで承認されて以降、40年以上にわたって重症ニキビの標準治療として使われてきました。日本ではまだ未承認薬という扱いのため、保険は使えず、自費診療となります。

日常の診療で、ニキビ治療はまず保険診療を軸に考えています。外用薬や、必要に応じた抗生剤の内服。保険で受けられる治療の範囲で、実際にほとんどの患者さんはしっかり良くなっていきます。

ただ、正直にお話しすると、保険診療だけではどうしても改善しきらない、いわゆる難治性のニキビの患者さんが、数パーセントいらっしゃるんですよね。何ヶ月も外用薬を続けて、抗生剤も試して、それでも赤く腫れたニキビが繰り返しできてしまう。そういう方に対してだけ、イソトレチノインというお薬を、最後の手段としてご提案しています。いきなり「これを飲みましょう」とは言いません。保険診療をやり切った上で、それでも難しい場合の選択肢として、丁寧に説明した上でお話しするようにしています。

内服期間は1クール半年、長くても8ヶ月です。そしてこれは実際の診療で感じていることなんですが、この期間で、ほとんどの患者さんのニキビは劇的に良くなります。乾燥などの副作用でつらい時期もありますが、数ヶ月経つ頃には、長年悩んでいたニキビが目に見えて落ち着いていく方がほとんどです。

そしてイソトレチノインの治療を終えたあと、多くの方が「保険診療でのケアを前向きに続けよう」という気持ちになっていっているとおもいます。ニキビがひどい時期は、外用薬を塗ることすら億劫になっていた方が、肌が落ち着いたことで、日々のスキンケアや保険診療での維持ケアに、自分から取り組めるようになっていく。「最後の手段」だったはずのイソトレチノインが、実は「保険診療に前向きに戻るきっかけ」にもなっている。これが、この薬を長年扱ってきたなかで最も伝えたいことです。

だからこそ、この薬は「困ったらとりあえず使う薬」ではなく、「保険診療を尽くした先にある選択肢」として位置づけてほしいと思っています。次に実際にこの薬をどう使っていくのか、効果の目安とあわせてお話ししていきます。

正しい使い方と効果の目安

イソトレチノインの効果を語るうえで、よく出てくるのが「積算量」という考え方です。これは体重1kgあたりの累積投与量のことで、120〜150mg/kgに達すると、その後の再発リスクが下がりやすいとされています。たとえば体重60kgの方であれば、トータルで7,200〜9,000mgを目安に数ヶ月かけて服用していくイメージです。

ただ、ここは正直にお伝えしておきたいのですが「この数値そのものに強い科学的根拠があるわけではない」という指摘もカナダの系統的レビューで出ています。「この数字を1mgでも超えれば絶対に再発しない」という魔法の数字ではなく、あくまで「目安」として捉えるのが誠実な向き合い方だと思っています。実際に目安のトータル量以下の内服でも非常に良好な結果が得られている患者さんも多いと感じています。

一方で、逆のデータもあります。この積算量が不足したまま治療を終えてしまうと、再発率が約半数まで上がるという報告があるんです。つまり、「なんとなく良くなってきたから」と自己判断で早めに切り上げてしまうのが、実は一番もったいないパターンだということですね。

服用を始めてから2週間から1ヶ月ほどは、一時的にニキビが増えたように見えることがあります。これは毛穴の奥に溜まっていた皮脂や角栓が、ターンオーバーの促進によって押し出されてくる過程で起きるもので、多くの場合は数週間で落ち着いていきます。ここで「悪化した、合わないのかも」と焦って自己判断で中止してしまうと、せっかく効果が出始めるタイミングを逃してしまうことになりかねません。

普段の診察の上で患者さんにお伝えしているのは、シンプルに「決められた量を、決められた期間、飲みきってください」ということです。定期的な血液検査で肝機能や脂質の状態を確認しながら、1ヶ月目、3ヶ月目、6ヶ月目と経過を見ていく。焦らず、途中で自己判断をはさまず、医師と一緒に決めた計画をやり切ることが、遠回りに見えて実は一番の近道になります。

そしてもう一つ、治療の入り口の話として大切なのがお薬の飲み合わせです。実はこの薬、一緒に飲んではいけない薬がいくつかあり、知らずに併用してしまうと事故につながりかねません。次に絶対に避けてほしい危険な飲み合わせについて、具体的にお話ししていきます。

絶対に守るべき危険な飲み合わせ

ここからは、実際にイソトレチノインを検討している方、あるいはすでに治療を始めている方に、必ず知っておいてほしい飲み合わせの話をしていきます。

まず一つ目、テトラサイクリン系の抗生剤です。ミノサイクリンやドキシサイクリンといった名前の薬ですね。これをイソトレチノインと一緒に飲んでしまうと、頭蓋内圧亢進症という脳の圧力が上がって激しい頭痛や吐き気を引き起こす症状のリスクが高まるとされていて、併用禁忌とされています。ニキビ治療というと、他の抗生剤との組み合わせをつい考えてしまいがちですが、ここは特に注意が必要な部分です。

二つ目は、ビタミンAを含むサプリメントです。イソトレチノインという薬自体が、ビタミンAの誘導体としてつくられているため、そこにビタミンAのサプリメントを重ねて摂取してしまうと、体内のビタミンAが過剰になり、頭痛や皮膚症状などの副作用が強く出やすくなります。美容や健康のために普段からマルチビタミンやビタミンAのサプリを摂っている方は、治療を始める前に一度、内容を見直しておくことをおすすめします。

三つ目は、プレドニゾロンなどの全身性ステロイドの内服薬です。これも長期的に併用すると、骨への負担が大きくなる可能性があるため、慎重な管理が必要とされています。もともと別の持病でステロイドを内服している方は、必ず事前に担当医へ伝えておく必要があります。

こうした飲み合わせの問題は、「知らなかった」では済まされないケースもあります。だからこそ初診のカウンセリングの段階で、今飲んでいる薬やサプリメントなどをしっかりと確認するようにしています。市販薬や健康食品も含めて、「これくらい大丈夫だろう」という自己判断が、思わぬ事故につながることがあるからです。治療中に新しく薬やサプリメントを追加したくなったときも、必ず一言、担当医に相談してから始めるようにしてください。

さて、ここまでは医学的な安全管理の話でしたが、次はもう一つ別の角度から、この薬について正しく知っておいてほしいことがあります。SNSや知恵袋で飛び交う「うつになる」「薄毛になる」といった噂です。ここを曖昧にしたままでは、正しい判断ができません。次にこちらの内容について事実を確認してみましょう。

SNSの噂の真偽を検証する

イソトレチノインについて調べると、SNSや知恵袋で本当にいろいろな噂を目にすると思います。ここでは、代表的なものを一つずつ、事実と照らし合わせて整理していきます。

まず「うつになる」「自殺念慮が高まる」という噂です。これはイソトレチノインをめぐって長年議論されてきたテーマで、この薬を「怖い」と感じる最大の理由になっていると思います。最新の大規模なメタ解析では、イソトレチノインとうつ病・自殺念慮との間に明確な因果関係は認められていません。ただし、極めてまれに抑うつ症状が出ることが報告されているのも事実です。だからこそ当院でも、うつ病など精神疾患の治療歴がある方には、より慎重な判断をするようにしています。「絶対に起きない」と言い切ることも、「必ず起きる」と煽ることも、どちらも正確ではないというのが実態です。

次に「薄毛になる」という噂です。ここは正直にお伝えすると、情報源によって数字にかなり差があります。ある情報では発生率1%未満とされている一方、別の情報では3〜6%という報告もあります。この幅を見ても、断定できる段階ではないというのが誠実な言い方だと思います。実際に薄毛を心配される患者さんは多いのですが、経過を見ていくと、髪そのものが抜けているというより、頭皮の乾燥でボリュームが落ちたように感じているケースも少なくありません。気になる変化があれば、我慢せず診察のときに相談してほしいところです。

そして「一生肌が乾燥したままになる」という噂。治療中は唇や鼻周りを中心に乾燥が出やすいのは事実で、多くの方が経験します。ただ、これが治療終了後もずっと続くという話については日々の診療の中でそうしたケースを見た記憶がありません。あくまで僕個人の臨床経験としての実感である、ということはお伝えしておきます。

最後に、避妊期間についての噂です。「昔は6ヶ月避妊が必要と言われていた」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。国際的には、米国FDAのプログラムや英国の規制当局が「治療前1ヶ月・治療中・治療後1ヶ月」の避妊を標準としています。ただ、日本国内では今もクリニックによって「6ヶ月」「1年」としているところもあり、対応が統一されていないのが実情です。だからこそ、ネットの情報だけで判断せず、実際に治療を受けるクリニックで、避妊期間についてはっきり確認しておくことをおすすめします。

噂と事実を切り分けたところで、次はもう一つ、絶対に触れておかなければいけない話があります。「効果が同じなら、もっと安く手に入る方法があるのでは」と考えて、個人輸入に目を向けてしまう方がいるという現実です。ここには、噂以前の、もっと根本的な危険があります。

個人輸入の危険性

イソトレチノインは日本では未承認薬で、自費診療となるため、費用面で「もっと安く手に入らないか」と考えて、個人輸入という選択肢に目が向いてしまう方がいます。ですが、ここはどうしてもはっきりお伝えしておきたいところです。

厚生労働省は、イソトレチノイン(アキュテインという商品名を含む)について、「数量に関係なく、医師の処方せんまたは指示書に基づく手続きなしには個人輸入できない」と、公式に名指しで注意喚起しています。つまり、個人輸入という行為そのものが、国の公式なルール上、想定されていないんです。

なぜここまで厳しく扱われているのか。理由は単純で、この薬が「厳格な管理のもとでしか安全に使えない薬」だからです。ここまでお話ししてきた通りイソトレチノインには、

  • テトラサイクリン系抗生剤との併用禁忌
  • 定期的な血液検査による肝機能・脂質のチェック
  • 妊娠中・妊娠を希望する方への使用不可
  • 精神疾患の既往がある方への慎重な判断

といった、医師の管理があって初めて安全に成立する条件がいくつも存在します。個人輸入では、こうした事前の確認も、治療中の血液検査も、体重や状態に応じた用量調整も、すべて自己流にならざるを得ません。加えて、届いた薬が本当に正規品なのか、成分や含有量が表示通りなのかを確認する手段もありません。

効果があるかどうか以前に、安全性を確かめる土台そのものがないのが個人輸入なんですよね。少し費用を抑えられたとしても、何かトラブルが起きたときに相談できる医師がそばにいない状態で服用を続けるのは、リスクに見合わないと僕は思っています。

もし費用面がネックになっているのであれば、それも含めて、遠慮せず医師に相談してほしいところです。次に実際に当院でイソトレチノインを検討する場合、どんな流れで治療が進んでいくのかをお伝えします。

当院の治療の流れとまとめ

まずカウンセリングで、ニキビの状態や、これまでの治療歴を診察し、イソトレチノインが適応になるかどうかを判断します。ここで、副作用や避妊の必要性についても丁寧に説明します。次に事前の血液検査を行い、肝機能などに問題がなければ、内服を開始します。そこから先は、1ヶ月目、3ヶ月目、6ヶ月目に再診と血液検査を行いながら、安全に治療を継続できているかを確認していきます。

治療期間中や、治療を終えたあとには、ニキビ跡のケアとして他の施術を組み合わせることもできます。当院ではダーマペン4CO2RE(炭酸ガスレーザー)、炎症の鎮静を目的としたスマートラックスミニといったメニューをご用意していて、イソトレチノインで落ち着いたニキビの、その先のケアまで一緒に考えていくことができます。

ここまで、効果の目安、危険な飲み合わせ、SNSの噂の真偽、個人輸入の危険性、そして実際の治療の流れとお話ししてきました。イソトレチノインは、決して「困ったらとりあえず使う薬」ではありません。保険診療をしっかりやり切った上で、それでもどうしても改善しない一部の方にとって、選択肢になり得る薬です。

この薬を長年扱ってくる中で感じているのは、正しい知識を持って向き合えば、これまでの治療で報われなかった方にとって、大きな転機になり得る薬だということです。噂に振り回されずみなさんの担当医と一緒にしっかりとご自身のお肌と体調を確認しながら判断していただければと思います!

それでは今日も健やかな肌で素敵な一日を過ごしていきましょう!

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