おはようございます、よしき皮膚科・形成外科院長の吉木です!
それでは今日の診療所日記をお届けいたします。
粉瘤が化膿する原因
粉瘤(ふんりゅう)って皮膚のデキモノをきいたことがありますか?
皮膚に生じる腫瘍で、中に皮膚のアカが溜まっていく袋状のデキモノです。
良性のデキモノでありすぐに除去しなくてはならないというデキモノではないのですが
たまに中にたまっているアカが炎症を起こして膿が溜まり、中にはひどく腫れて強い痛みを生じる事があります。
実はこの粉瘤が炎症を起こす原因は細菌の感染によるものではなく、粉瘤の中身自体に免疫反応が生じて炎症を起こすということが分かっています。
ですので粉瘤が強く炎症を起こして腫れてきたら化膿止めだけで二次感染を予防するだけでは効果に乏しく
切開して膿と中のアカを出すということが最も効果的な治療手段となります。
このとき本体の袋も場合によっては取り出すこともできる場合があります(いわゆる「くり抜き法」)
一度化膿した粉瘤は炎症が治まるとだいたい2ヶ月くらいで元の状態に落ち着いていきます。
炎症を抑えるために切開したときに袋が完全に取り切れないという場合には、炎症が治まった2ヶ月目くらいに手術による摘出を検討します。
粉瘤の手術
粉瘤を取り出す手術は「切開して摘出して縫合する方法」と、一部施設で行われている小さな穴をあけてそこから袋を摘出する「くり抜き法」と分けられます。
当院では原則「大きく切開して摘出する方法」を選択し、くり抜き法は行っていません。
なぜか?
もちろんくり抜き法に習熟した先生だと完全に袋を取り出す自信もあると思うのですが、
粉瘤の場合少しでも袋の一部が残っていたらそこからまた再発してしまうことがあるので私は選択していません。
これには私が大学病院で皮膚悪性腫瘍切除をメインに行っていたからでして、
術者として特に気になることは「腫瘍の再発」だからなんです。
小さい穴から盲目的にに腫瘍を取り出すことは当然再発のリスクも上昇します。
ですので腫瘍を直接見ながら完全に摘出したい!という考えがあるため、切開して直接粉瘤の袋を確認しながら摘出する方法を選択しています。
粉瘤の手術は簡単?
たまに「粉瘤の手術は簡単なんですよね?」とおっしゃられる方もいらっしゃいます。
確かに「麻酔して、切って、取り出して、縫う」だけです。
私の場合、2cmまでの粉瘤なら15分もあれば麻酔して、切って、取って、縫うまでのプロセスが終わります。
しかし25年前、初めて粉瘤の手術を外来で行ったときは1時間30分くらいかかったことを今でも明確に覚えています。
そして手術が終わって「長い時間かかってしまい申し訳ありませんでした・・・」と伝えたときその患者さんが
「心配せんでええよ!少しでも先生の勉強になったかね?」と言ってくださったことも忘れられません。
そんなにも長い時間うつ伏せで耐えてくださったその時の患者さんには本当に感謝しています。
そして少しでも患者さんの負担を少なくするため技術を磨きつづけました。
そりゃもちろん心臓の手術や脳外科の手術と比較したら簡単かもしれませんが、
我々皮膚科医、形成外科医は「少しでも傷が目立たなくするように切る、縫合する」を至上の命題として手術を行っております。
単に切って取って縫う、というだけの技術においても過去数百年に渡った先人の知恵と知識と経験の上に成り立っています。
もうすでに数万回、数十万回と「切って縫う」ことを行っていますが、それでも常に毎回「傷跡がキレイに仕上がる切り方、縫う手の動かし方はこれで良かったか?」と自問自答しながら手術を行う日々なのです。
そしていつの日か患者さんから「手術痕、メッチャキレイになってます!手術も10分くらいのものでしたよね~!」と言われた時、
「10分じゃありません、25年と10分かかっています」
なんてカッコいいこと言ってみたりしたいな~、なんてニヤニヤしながら今日の診療所日記を書いているのでした(笑)
それでは本日も健やかな肌で素敵な一日を過ごしていきましょう!