おはようございます、よしき皮膚科・形成外科院長の吉木です!
それでは今日の診療所日記をお届けいたします。
アトピー性皮膚炎の原因は?
結論から申し上げますと「皮膚のバリア機能が低下していること」です。
アトピー性皮膚炎患者さんには食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎などのアレルギー性疾患が合併しやすいことは知られています。
うまれつき皮膚のバリア機能が低下していることでそこから様々な物質が侵入し、それに対して皮膚は免疫反応を起こし「湿疹」が生じます。
そもそも湿疹ってなに?ってことなんですが
皮膚は皮膚に侵入してきた異物だけを排除することが難しい場合、リンパ球と呼ばれる免疫細胞が異物が侵入してきた皮膚そのものを破壊することで異物を排除しようとする免疫反応を起こします。
この免疫反応によって生じる皮膚の変化を湿疹と言います。
同時にかゆみを起こす物質が皮膚の免疫細胞から放出されることで皮膚に痒みを起こし、掻くことによっても異物の侵入してきた皮膚を物理的にはぎ取ってしまおうという行動を促します。
なのでアトピー性皮膚炎患者さんは慢性的に皮膚にかゆみを伴った湿疹が生じる事になります。
湿疹が継続するとどうなるの?
この一連の流れは実に精密に構成されたシステムによって構成されており、同じ物質が外部から侵入を繰り返していくと
皮膚はその繰り返し侵入してくる物質に対して速やかに反応を起こすように訓練された免疫細胞を大量生産していきます。
この反応を経皮感作と言います。
周囲に食べ物のカス、花粉、ハウスダストなどが多い場合、それらに対する数か月~数年にわたって繰り返し侵入し続けると
それらに対する即時型免疫反応を生じる抗体と呼ばれる物質も経皮感作によって体内でどんどん生産されるようになっていきます。
この抗体と呼ばれる物質は異物排除にとても重要な役割を果たすのですが、特定の体質を持っている方、
いわゆる免疫反応が強力に生じやすい方、さらにここで言い換えるとアレルギー体質の方は
花粉、ハウスダストなどの物質が体内に侵入してきたときに強力な免疫反応が生じるため
鼻水、くしゃみ、目の充血、呼吸の苦しみと言った不快な症状を生じる事になります。
まとめるとアトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能低下によって繰り返し湿疹を生じる疾患であり、それが原因で様々なアレルギー疾患を生じる疾患であるということになります。
対処法、治療は?
まずアトピー性皮膚炎、もしくはその可能性がありますと診断を受けた場合は
保湿剤による徹底した皮膚バリア機能の改善・維持です。
ここで気を付けたいのが保湿剤は良好なお肌の状態を維持するために使用するお薬ということです。
多くの患者さんで湿疹が起きているのに保湿剤だけ使用している、というパターンが後を絶ちません。
肌を触れてみてガサガサしていたり明らかに正常とは異なる状態、という事であれば
まずはステロイド外用剤、プロトピック軟膏®、コレクチム軟膏®、モイゼルト軟膏®、ブイタマー®など
湿疹、炎症を抑えるお薬を使用して湿疹を押さえる必要があります。
理想的な状態は保湿剤は常に使用し、軽い湿疹が年に数回生じるくらいを目指しましょう。
生物製剤 ~難治性アトピー性皮膚炎に対する次の一手!~
もちろん皮膚バリア機能の低下具合は個人差があり、こういった治療のみではコントロールが難しい場合もあります。
何より重要なのは湿疹のコントロールです。
次に検討するのが光線治療器(ナローバンドUVB、エキシマランプ)による湿疹の治療や、
近年その効果で世界的に使用が広がっているデュピクセント®、イブグリース®、ミチーガ®などと言った生物製剤の使用です。
一般的な外用治療、光線治療を行っているのに
一年中夜痒くて眠れなくて困っている
湿疹を繰り返し、お肌がボロボロになって色素沈着も生じてお気に入りの洋服を着ることもためらわれる
みんなと一緒に温泉に行きたくても見た目の問題で行きづらい
毎回同じ薬を処方されるだけで一向に改善する気配がない
などといったお困りを抱えていらっしゃる方には生物製剤は光明をもたらすものと考えられます。
もちろん生物製剤の使用においては「既存の治療でコントロールがつかないアトピー性皮膚炎患者さん」という前提条件がありますが、
現実として当院でもこれら生物製剤による治療を行った患者さんの9割以上が
痒みが数日で消えた
ステロイド外用剤などの薬を塗る頻度がかなり減った
こんなに快適になるなら早くやっておけばよかった
人生が変わった
などのお声を頂いています。
もし既存の治療でなかなかうまく湿疹のコントロールが難しい、とお困りの方は
まずは当院を含め、皮膚科専門医のいる皮膚科クリニックでご相談されてみてください!
それでは本日も健やかな肌で素敵な一日を過ごしていきましょう!