今日のニュースにこのような記事がありました。
先日の皮膚バリア機能改善につながる物質の発見など最近の京都大学の研究はめさましい成果が続きますね!
ステロイド外用剤はわれわれ皮膚科医にとっては切っても切れないもの。
これなくして皮膚科疾患の治療の殆どは成り立ちませんが不適切な使用法を行うと様々な副作用を及ぼします。
副作用についてはステロイド外用剤に限らずあらゆるお薬に伴うものなのですが、特にアトピー性皮膚炎や尋常性感染などの
「慢性皮膚疾患」は長期使用が必要となることが多く、特に副作用について取りざたされることが多いです。
「弱いステロイドだから」、「ワセリンで薄めているから」皮膚に優しい、副作用を及ぼさないということは決してありません。
逆に強い湿疹病変に対して漫然と弱いステロイド外用剤を使用することにより湿疹病変が治らないだけでなく、ステロイド外用剤の吸収だけ起こるため様々な皮膚障害を及ぼすことになるため、ガチガチの硬い皮膚やひどい色素沈着を伴った皮膚になることになります。
もちろん少しでも副作用の少ないお薬が使用できるに越したことはありません。
数年前から販売されているタクロリムス外用剤(プロトピック軟膏)は湿疹病変からしか吸収されないためステロイド外用剤と比べると「副作用が少ない」お薬になります。
しかし強い湿疹病変については効果が乏しいことと外用初期に刺激感を伴うことから使いどころにコツのいるお薬ではあります。
このような様々な疑問や外用剤の適切な使用法をその患者さん一人一人にご指導するのが我々皮膚科医の役目の一つです。
高性能のスーパーカーでも運転の仕方も知らずに操作するとひどい事故を起こすことになりますが、適切な運転法を習得することで最大限の性能を発揮できるのと同様です。
しかし我々皮膚科医がドライバーなのではありません。ドライバーはあくまで患者さん一人一人であり、お子さんが患者さんであればそのご両親がドライバーなのです。
私たちは自動車教習所の教官であり、メカニック担当のようなもの。
適切な操作法を皆さんに習得していただき、新たな運転技術をご指導したり車のメンテナンスを行うために存在しています。
特にアトピー性皮膚炎などの多くの皮膚科慢性疾患では長い道のりを患者さんと一緒に歩んでいくことになります。
つらくて途中で息切れを起こすようなこともあるかもしれません。
治療に関して不安を感じ、いっそ治療をやめてしまおうか・・・と思うこともあるかもしれません。
そんなときにふと横を見ると傍にいて不安や疑問を解消できる頼れる存在でありたいと常に思っています。