昨日はアクロス福岡で開催された日本皮膚科学界福岡地方会へ参加してきました。
日常診療で見かける疾患の中にも「ああ、こういうところを気をつけて診察しないといけないな・・・。」
と、とても参考になる発表ばかりでした。
また、ある難治性の皮膚疾患に対しても「こういう治療法があるのか!」
という新たな知見も得る事ができ非常に有意義な時間を過ごせたと思います。
医学については10年前の常識は現在の非常識、という事が往々にしてあります。
たとえば
「傷は風呂に入って濡らしてはいけない!」とか
「傷は消毒して乾燥させないといけない!」といった事は
現在では間違った傷のケア方法とされています。
怪我に限らず「傷」に関しては
1:血液凝固期(出血期)、2:炎症期、3:細胞増殖期、4:成熟期
という大まかに分けて4つのプロセスを経て治癒していきます。
それぞれのプロセスが徐々に重なり合って進行していき、またその状況に応じた処置が必要となります。
特に血液凝固期や炎症期は傷表面にある不要なものを除去する必要があるため浸出液も多くしっかりと洗ってあげることが重要です。
異物を除去しないといけない初期の傷に対して最近はやりの「密封して治すタイプの高級な絆創膏」を貼ってしまうということは
異物を閉じ込めてしまう事にしかならずまた大量の浸出液が出てきてしまうのでジュクジュクの傷になってしまい
「浸出液によるかぶれ」や「トビヒ」の原因にもなりかねません。
またジュクジュクした傷になってしまうためん何回も貼りなおす必要もありあまり効率のよい傷のケアとはなりません。
ああいった特殊な絆創膏は「3:細胞増殖期」に貼付することで最大限の効果を発揮します。
創傷治癒の研究が進み「Moist wound healing(湿潤環境が細胞増殖にもっとも有利な状態)」という考えのもと
薬局でも湿潤環境を保てる高級な絆創膏が手に入るようになりましたが
使いどころを間違えてかえって傷の治りが悪くなっているという患者さんを多く見かけます。
あまりにも治りが悪い「傷」については本当にそれがただの「傷」なのか、ひょっとすると別の病気が隠れている可能性もあります。
「治りが悪いな・・・。」と思われる傷についても皮膚科・形成外科でお気軽にご相談してください。