乾癬と全身症状 | 福岡県福津市の『よしき皮膚科・形成外科』(アトピー性皮膚炎・巻き爪の治療、美容脱毛など)

診療所日記

乾癬と全身症状

おはようございます、よしき皮膚科・形成外科、院長の吉木です!

それでは本日の診療所日記をお届けいたします。

乾癬とは?

乾癬という病気があります。

皮膚科領域においてはこれは全身の皮膚にカサカサとした白いフケのような発疹が出てくる病気です。

特に肘、膝、スネなどの摩擦を受けやすい部位に多く見られ、病気の進行とともに全身に発疹が現れます。

なにより患者さんにとって一番困るのがその見た目であり、プールや温泉など肌を露出するような場所に行きづらかったり、黒や紺などの洋服を着た場合肩回りにフケのようなものが落ちてそれが目立つなど生活の質(Quality of Life)を著しく下げてしまう病気のひとつです。

乾癬についてはこのように外部から一番目立つ臓器、「皮膚」に症状が現れるため皮膚科の病気として扱われてきた背景があります。

乾癬は皮膚だけでなく全身の臓器に影響を及ぼす病気

私が皮膚科医になりたての30年近く前の教科書には「尋常性乾癬は環境要因と遺伝的な要因が考えられ、特に高血圧、糖尿病、肥満と言った生活習慣病患者に多く合併する」という記述がありました。

実際に多くの尋常性乾癬の患者さんを診察していると上記の記述は確かに当てはまるような傾向は実際に感じていましたが、ここ十数年、乾癬の研究が進むにつれて上記の記述はちょっと違うぞ、ということが分かってきました。

乾癬の病態形成にはIL-17、IL-23といった物質を産生する免疫細胞が原因であり、この細胞が皮膚に影響することで乾癬特有の皮疹を生じさせるだけでなく、血管に作用することで高血圧を生じさせるなど、様々な臓器に悪影響を与えるということが分かってきました。

ちなみにIL-17, IL-23と乾癬の発症については私が大学で研究していた時の研究課題のひとつでした

IL-23 from Langerhans cells is required for the development of imiquimod-induced psoriasis-like dermatitis by induction of IL-17A-producing γδ T cells

つまり「IL-17、IL-23を産生する免疫細胞が皮膚や血管、肝臓、関節など様々な臓器に作用することで乾癬特有の発疹や生活習慣病を引き起こす」ということなのです。

さらに言い換えれば「乾癬は生活習慣病患者に発症しやすい」のではなく「乾癬があるから様々な生活習慣病にかかりやすい」ということです。

また以前より乾癬には関節症性乾癬という間接症状を伴う病型も指摘されていました。

関節症状を伴う他の有名な病気として関節リウマチという膠原病があります。

いずれも免疫システムの暴走により様々な臓器を攻撃するという共通点があり、どうやらこの二つの病気は親戚のような関係にあるということもわかってきました。

乾癬の治療

皮膚症状だけに目がいきがちな乾癬ですが、実は関節症状の出現は乾癬の進行度を図るうえでとても重要な指標とされています。

乾癬の治療はピラミッド戦略と言われており、まずは外用剤を使用した治療をベースとして、紫外線療法、内服療法、生物製剤といった流れで治療戦略を立てていくことが基本とされてきました。

ただ、外用治療のみで皮疹のコントロールが良好な場合でももし関節の痛みなどが生じてきた場合、関節の破壊が進むことで痛みにより物を持ったり、通常の歩行にも支障が出る可能性が出てきます。また同様に皮疹は少なくても高血圧などの症状が出てきた場合、乾癬患者さんは脳出血、心筋梗塞など心血管系の重篤な病気を発症しやすいというデータも得られています。

ですので皮疹のコントロールが良好であっても関節症状や生活習慣病を発症してきた時点で積極的に生物製剤の使用も考慮されるべきであるといった考え方も出てきました。

実際に免疫が暴走することで生じる炎症性腸疾患においてはまずは初期に生物製剤を使用して病状が落ち着いたら生物製剤以外の治療で症状をコントロールする、ということが一般的な治療とされているようです。

これまではピラミッド戦略の頂点として「重篤な症状の人に生物製剤を使用する」という流れでしたが、逆に「重篤な症状をきたす前に生物製剤を使用する」という時代に変革してきました。

ただ乾癬に対する生物製剤の投与においては、あらかじめ総合病院の呼吸器内科などで全身検索を行う必要があるため、もし乾癬に対する生物製剤の投与を希望される患者さんがいらっしゃった場合、当院では現在の所全身検索を行えて、生物製剤の投与も行っている近くの総合病院へご紹介させていただいています。

外見上の問題だけでなく、様々な臓器に障害を与える可能性のある「乾癬」でお困りの方に関してもご相談に乗りますのでお気軽に受診してください。

 

それでは本日も健やかな肌で素敵な1日を過ごしていきましょう!

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