おはようございます、よしき皮膚科・形成外科院長の吉木です!
それでは今日の診療所日記をお届けいたします。
レーザー?手術?
「ホクロ」を除去する方法として炭酸ガスレーザーを使用したレーザー治療と手術による切除二つが挙げられます。
まずはそれぞれの特徴についてお伝えしますと・・・
レーザー治療(炭酸ガスレーザー)
- レーザーでホクロの箇所を削り取って平らにする。擦り傷を治す感じなので傷跡は非常に目立ちにくい。
- 根が深いホクロは完全に除去することは難しいので再発を前提として複数回に分けて施術を行うことがある。
- ホクロ自体を削り取るため病理検査は行えない。
- 原則として顔のホクロにおいて実施する(首から下のホクロに実施するとかえって目立つ傷跡になりやすい)
- 保険適用外(自由診療)
手術による治療
- メスでホクロを完全に切除し縫合する。切り傷としての縫い跡が残る。
- 根が深いホクロも残さず取ることができるので再発は非常にまれ。
- 切除したホクロは病理検査に提出するため確実な診断ができる。
- 顔以外、どの部位のホクロにおいても適応される
- 保険適用
と大まかな特徴はこのような感じです。
ですので患者さんの希望で、なるべく切り傷を残したくなく見た目の仕上がりを重視する場合はレーザー治療、再発のリスクを減らして1回で除去したい場合は手術を選択するということが一般的な考え方とされています。
私のホクロ治療における考え
一般的な考えとしては上記のようなことになりますが、私がホクロ治療をする上でのこだわりをお伝えいたします。
1:術後の傷跡について
手術による治療においても順調にいけば約1年程度で白い糸状の線状の傷になりほとんど目立たなくなることが多いです。特に体、またレーザーで治療した場合においてでも完全に傷跡が消えなくなるか?と言われれば若干ホクロの形に凹んだ傷跡となって残ることもあります。やはり患者さんが一番されるのは術後の傷跡ではないかと思います。ですので私はどんなホクロでもレーザーで治療を行うことは提案せず、部位や大きさ、またホクロがどの皮膚の深さにあるか、によって最もベストと考えられる治療を提案するように心がけています。
2:再発を是とするかどうか。
私自身過去に大学病院で皮膚悪性腫瘍(皮膚癌)治療を行っていた立場から言うとホクロのような良性腫瘍でも再発というのはなんとなく気持ちが悪いものです(汗)。もちろんレーザー治療に関する教科書においても「レーザー治療後のホクロの再発は小さく点状に再発することが多いので、そこだけを小さいレーザー径で削るようにすることを行うとよい」とあるので再発を前提とした治療であることは認識しています。その上で患者さんの希望によりレーザー治療を選択する場合はなるべく再発を予防するため炭酸ガスレーザーで焼灼した後で黒い色素に反応するQスイッチレーザーを追加照射することをだいたいルーチンとしています。もし再発が何度も続くことがあれば迷わず患者さんには「ホクロ以外のできもの、皮膚癌の可能性もあるので手術でしっかり切除しましょう」とお伝えいたします。
3:病理診断をどうする?
私を含め皮膚科専門医は皮膚に生じたデキモノについては必ず「ダーモスコピー」と呼ばれる特殊な虫眼鏡で観察します。その上で「コレは間違いなくホクロだろう!」と診断したものにしかレーザー治療は行いません。もし少しでも「あ、このデキモノ、皮膚癌かも・・・」と頭によぎったら必ず一部を切除して病理検査にかけることを患者さんに提案いたします。この場合においてもしその摘出したデキモノが良性の腫瘍であった場合においてのみレーザー治療を選択肢として提案いたします。皮膚科専門医である私としての立場は「まず患者さんの健康を守るのが第一の使命」と考えているので病理診断を最優先することに迷いはありません。
4:レーザー治療を行うホクロは顔のホクロだけ。
これはレーザー治療では日本では著名な先生が教科書に書かれていることですが「首から下のホクロに対してレーザー治療を行った場合、非常に目立つ瘢痕(傷跡)が残りやすいのでその場合は慎重にレーザー治療の適応を考えるべきである」とされています。現実として過去、腕のホクロに対して炭酸ガスレーザーによる治療を受けたという患者さんを診たことがあるのですが、とても目立つ傷跡になっていました。ただし首にできるアクロコルドンと呼ばれるイボや脂漏性角化症と呼ばれる皮膚にベタッと引っ付いて増殖するようなデキモノに対しては炭酸ガスレーザーによる治療を行っても目立つ傷になることがないのでそちらについてはむしろ他の治療と比較して傷跡の治り方も良いため炭酸ガスレーザーを積極的に使用しています
ホクロ治療の大前提
私なりのホクロ治療に対する考えは以上なのですが、何より一番重要なのが「皮膚癌ではないかどうか」です。
正直、何十年も経験を積んだベテラン皮膚科医でも皮膚癌を見落とす可能性が完全にゼロとは言えません。
我々皮膚科医は何らかのデキモノを見たときは常に「これは皮膚癌ではないだろうか?」ということを頭において診察を行っています。
皮膚科専門医になるためには6年以上皮膚科医としての経験を積み、さらに筆記試験、面接試験を受け、それに合格してようやくその資格を得ることができます。
むしろ皮膚科専門医となってからはその責任を負って更なる研鑽を積むためのスタートラインに立ったにすぎません。
最近では「直美」と呼ばれる皮膚科医としての臨床経験の無い医師がいきなり美容皮膚科として現場に立つことが問題視されていますが、皮膚癌も診察したことが無い医師がホクロ治療したりレーザー治療したりすることがどれだけ危険なのか、おわかりいただけますでしょうか?
「ただのホクロ治療」かと思われるかもしれませんが、それだけ我々皮膚科専門医は常に緊張感をもって診療を行っています!
…なんだか重苦しい話になってしまいましたが、もし「ホクロとりたいな~」とか「このデキモノ、皮膚癌じゃないか心配・・・」と思われたら皆さんはどうかお気軽にご相談くださいね(*’▽’)
それでは本日も健やかな肌で素敵な一日を過ごしていきましょう!