おはようございます!よしき皮膚科・形成外科、院長の吉木です。
それでは本日の診療所日記をお届けいたします。
春に出てくる虫
なーんもやる気が出なくてyoutubeのショート動画で時間を溶かしていたある日、
「致死量0.03mg/kgの猛毒を持つ昆虫」というタイトルの動画が目につきました。
過去には暗殺で使用されていた虫であるとかないとか・・・(ホンマかいな)。
その虫の名前はツチハンミョウ
春先日本のどこでも見られる虫らしいです。
虫好き皮膚科医としてこれは見逃せん!と調べてみたところ
- 体長は約2cmくらい。
- 色は黒くて頭が小さく、お腹がデカい。
- 身に危険を感じると脚の関節から黄色い液体を出し、これに毒が含まれている。
- 羽は退化しており飛べない。
- 人を噛んだり襲ったりはしない。
・・・なんかヤケド虫(アオバアリガタハネカクシ)によく似た虫ですね。
やけど虫については過去の診療所日記でも何度かお伝えしたことがあります。
やけど虫は潰してしまったらその体液に含まれるペデリンという毒が皮膚炎を起こすのですが、
ツチハンミョウの体から出てくる体液に含まれる毒は何なのかと調べてみるとカンタリジンという毒のようです。
・・・カンタリジン?なんか聞いたことあるな・・・
あー!最近発売された水いぼ治療薬の主成分が「カンタリジン」だった!
そうなんです、実は水いぼ治療のためのお薬が最近某企業から発売されたのです。
この水いぼ治療薬、個人的には結構興味があったたのですが、実際ふたを開けてみると
- 処方箋で出して自宅で塗って治療するものではない
- 病院で塗布する必要がありその後も塗ったところがヒリヒリした痛みを伴う
- 数時間後必ず洗い流す
とやや手間のかかるお薬であるためあまり実用的ではないな・・・と私は感じており使用をずっとためらっているのです。
そもそもここ10年くらいの流れとして水いぼは早くて2~3カ月、長くても1年くらいで自然脱落することが分かっているため多くの医療機関では以前のように積極的に水いぼを除去する施設はかなり減少しています。
水いぼに関しては「お子さんに対してわざわざ痛みと恐怖を与えるような処置しなくても自然に取れるならその方がよっぽど良いじゃないか」という考え方になっています。
もちろん水いぼ治療薬が良くない!とか危険だから使わないようにしよう!と言っているわけではないので誤解されないでください。
実はヤケド虫が持っているペデリンという物質も癌の治療薬として注目されていたりします。
そもそもお薬というものはもともと花や植物などに含まれる天然の成分からその有効成分が特定され、さらに化学物質として生成されることで我々の役に立っているものが多くあります。
学生の時に読んだ薬理学の教科書の冒頭にはベラドンナという植物について書かれていました。この植物にはアルカロイドという毒が含まれており、それこそ過去には暗殺用の毒として使われていた歴史もあるのですが、その成分が人体にどのような作用を及ぼすのかが科学的に研究されていき抗コリン薬として進化し、今では胃薬、鼻炎薬などにその成分が含まれるようになりました。
美容の世界ではしわ取りなどで有名なボトックスもボツリヌス菌が産生する毒素が神経伝達を抑制し、筋肉の収縮を抑制するという作用から広く医療の分野で使われるようになりました。
適切な用法用量だと人体に有益な「お薬」として作用し、用法用量以上の誤った使用をすればどんなお薬も「毒」となるわけです。
なので皆さんも「早く病気を良くしちゃろう!」と思って1日2回と決められたお薬を3回も4回も使用したり、「症状が改善するまで毎日使用してください」と書かれたお薬をたまーにしか使わないということはせず、必ず用法用量通りの使用を行ってください!
それでは今日も健やかな肌で素敵な1日を過ごしていきましょう!