おはようございます、よしき皮膚科・形成外科院長の吉木です!
それでは今日の診療所日記をお届けいたします。
保湿剤の役割
保湿剤は低下した皮膚のバリア機能を回復、維持させるためのお薬となっています。
アトピー性皮膚炎などの皮膚バリア機能が低下している患者さんにおいては皮膚の水分が容易に失われてしまうことで乾燥肌となり、外部から様々な遺物が侵入することで湿疹を起こすことに繋がるのでそういったことを予防するためのお薬です。
そして保湿剤自体には水分はほとんど含まれていないため、カサカサ乾燥したお肌に保湿剤だけ塗ってもむしろヒリヒリ痒みを生じる事があります。
よく「保湿剤を塗るとむしろ痒くなる」と言った場合には保湿剤を塗る前に水分をしっかりと与えていないことが多いです。
保湿剤を塗るタイミングは洗顔直後や入浴直後などお肌に水分が十分含まれている状態で外用することが重要です。特に洗顔、入浴後5分以内を意識して塗るように心がけてください。
また入浴直後の浴室内など、湿度の高いところで塗るのが最も効果的です。
朝は外用前に化粧水を塗ることもお肌に水分を与えるという意味では効果的ですが、敏感肌の方は敏感肌用の化粧水を使用することをおススメいたします。また皮膚に湿疹が生じているなどむしろ「化粧水を塗ったらヒリヒリしみる」という状態で化粧水を無理に使用することはかえって湿疹を悪くしてしまうことが多いため、化粧水の使用をいったん中止し、処方されるお薬を使って湿疹が治まってから化粧水を使用するようにしましょう。
保湿剤を使い分ける
保湿剤にもワセリンなどの油脂系成分の含まれているもったりとしたものから、乳液タイプのようなトロっとしたもの、中には化粧水のようにサラっとしたものなど様々な剤型があります。
乾燥肌傾向が強い方はもったりしたものを、皮膚の油分が多い方はトロっとしたものやさらっとしたものがおススメです。
また季節によっても使い分けることもアリです。乾燥傾向の強い冬はもったり系、逆に夏はトロっとしたもの、さらっとしたものが使いやすいですし、特に夏場は泡系の保湿剤も使用感が良いため好んで使用される方も多いです。
さらに、朝メイクをされる方の場合もったりした保湿剤ではメイクの乗りが悪いと感じられる方は朝はサラっと系、夜中にしっかりと保湿効果が欲しいという方はトロっとしたものやもったりしたものでしっかり保湿するという方法もあります。
保湿剤は使わない方が良い?
なかには保湿剤は肌の保湿機能を逆に低下させることになるからなるべく使わない方が良い、という考えをもった医療従事者がいることを過去耳にしたことがありますが、私はこの考えには否定的です。
まずアトピー性皮膚炎の原因は皮膚のバリア機能の低下がその大元の原因であり、様々なアレルギー性疾患を発症するということは以前の診療所日記でもお伝えしたことがあります。
そんな方に対して皮膚のバリア機能を維持させるお薬を使用しない、ということはその疾患の治療におけるもっとも根底的な部分を否定することなります。まるで糖尿病や腎機能障害の治療をするうえで食事管理は必要ない、とか、高血圧の治療をするのにタバコを止める必要はない、と言っているようなものです。
病気とはその人の持って生まれた体質をベースに外部からの要因が複雑にからみ合わさって発症します。
一度発症してしまった病気と上手く付き合いしっかりとコントロールするうえで重要なのは、病気の状態をお薬で正常な状態に持っていくだけでなく(ステロイド外用剤などによる湿疹のコントロール)、原因となっているものをなるべく排除して病気の状態にもっていかないようにする(保湿剤で皮膚のバリア機能を良好な状態に維持する)ことが重要であることは言うまでもありません。
皮膚のバリア機能をお薬を使用せず根本的に解決する方法は残念ながら現在の所見つかっていません。おそらくいつの日かそのような方法は必ず発見されると信じているのですが、現時点では「保湿剤を使用する」ことが乾燥肌に対する唯一の方法となっています。
皆さんも乾燥肌で困っている、という場合においてはまずしっかりと保湿剤を使用しましょう。また我々も皆さんが快適な日々を過ごせるよう常に努力してまいります!
それでは本日も健やかな肌で素敵な一日を過ごしていきましょう!