ついに食物アレルギーに関する決定的な論文がNew England Journal of Medicine という非常に権威ある雑誌に発表されました。
どのような研究内容かというと
生後数ヶ月の赤ちゃん数百人を対象にある食物をずっと摂取させていた場合とまったく摂取させていない場合において
その食べ物に対するアレルギー反応がどのようになるか、というものを5年間追っていったというものです。
結論から言うと
「特定の食物をずっと摂取していた子供のほうがその食物に対するアレルギー反応を起こしにくい」
という結果でした。
しかも特筆すべきは
検査でその食べ物に対するアレルギー反応が見られる場合においてもその食べ物を摂取し続けることでアレルギー反応を抑える事ができる
ということまで証明しているという事です。
【注意】
当然、検査で「強い」アレルギー反応を生じ、アナフィラキシーショックを起こす可能性が高い患者さんは除外してあるようです。
特定の食べ物に対して明らかにひどいアレルギー症状がでる患者さんに無理やりその食べ物を食べさせる事は非常に危険なことは間違いありません!
また研究結果をみると明らかなのですが、数年間アレルギー除去食をしていた場合、除去していた食べ物に対するアレルギー反応が非常におきやすい状態になっています。
これまでアレルギー除去食を行ってきたお子さんについてはいきなりその食べ物を食べさせるとひどいアレルギー症状、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性が非常に高いため
アレルギー除去食の解除を行う際には専門医のいる施設で行う事が必要となります。
自宅でいきなりアレルギー除去食の解除を行う事は控えてください。
過去からこれまでにおいても
「検査でわずかでも特定の食べ物に対して数値の上昇が見られたらその食べ物は除去する」
という事が行われてきました。
しかしそれは「余計にそのアレルギーを助長する事にしかならない」ことがほぼ完全に証明された事になります。
ではどうすればよいのか?
まずは幼い頃から何でも食べさせる・触れさせるという事が重要です。
その上である特定の食べ物を摂取した場合に限り蕁麻疹、喘息症状が出る場合に限りその食べ物に対するアレルギー検査をしてアレルギーの原因となっているか調べる
という流れが非常に重要です。
いきなり採血を行い、アレルギー検査をしてその結果のみを盲信してアレルギー除去食をする事は厳に慎む必要があります。
全くアレルギー症状が出た事の無い赤ちゃんに対して採血などでアレルギー検査をしてもし特定の食べ物に対する数値が上がっていた場合
親の気持ちとしては食べさせる事をためらわせる・不安を煽る結果だけになってしまうと思います。
また極端なアレルギー除去食がアレルギー発症の引き金になるだけでなく、お子さんの体に必要とされる栄養が十分に摂取されない事により
成長障害・発育障害を引き起こす事も現在大きな社会問題ともなっています。
今回のこの論文内容を受けて「幼少期から何でも摂取する・触れさせる事が重要である」という考えが広く行き渡ることを切に望んでやみません。
アレルギー性疾患発症、免疫システムの不具合に関しては現在我々の周囲を取り巻く環境も大きな要因となっています。
実は「極端に衛生的な環境」が免疫システムのバランスを崩し、免疫システムがいわゆる「アレルギー体質」に傾く事がわかっています。
次回はこちらに関してもお伝えしていきたいと思います。