食物アレルギーの予防法 | 福岡県福津市の『よしき皮膚科・形成外科』(アトピー性皮膚炎・巻き爪の治療、美容脱毛など)

診療所日記

食物アレルギーの予防法

おはようございます!よしき皮膚科・形成外科、院長の吉木です。

それでは本日の診療所日記をお届けいたします。

皮膚も腸も「外部と接している」臓器

内視鏡検査で見ている胃や大腸の画像は「体内の画像」と思いがちですが、れっきとした「外界の画像」です。

人間の口から肛門までをイメージする際はホースを思い浮かべてみてください。

ホースの外側が皮膚であり、ホースの内側が口、食道、胃、小腸、大腸となりその他の内臓はホースの素材に埋め込まれているような感じです。

そしていずれも外界と接触している臓器なのですが、免疫学的には役割が大きく異なっています。

皮膚は腸管を含めた臓器を「守る」役割があるので、様々な外部からの侵入や攻撃を排除するようなシステムが備わっています。そしてその免疫システムは非常に精密に構成されており、一度侵入してきた異物を記憶し、2回目以降からは効率よくそれらの異物を排除するようにできています。

逆に腸管は外部から侵入してきたものから効率よく栄養を吸収する機能が備わっています。皮膚のように外部からの侵入物に対して攻撃、排除してしまうとせっかく栄養として取り込まないといけないものまで排除してしまいかねません。なので腸管においてはなるべく多くのものの侵入を許すような機能が備わっています。

このように皮膚から侵入してくるものについては効率よく排除を促し、腸管から侵入してくるものは効率よく吸収するような免疫システムをそれぞれ「経皮感作」と「経口免疫寛容」と言います。この現象については現時点において科学的に正しいことが様々な過去の報告によって証明されています。

つまりお肌の弱い方は幼少期からしっかりとスキンケアをしつつ、しっかりなんでも食べることが食物アレルギーの予防につながるということです

実は過去30年くらい前遡ると、特に小児医学の世界において「食べることが食物アレルギーの原因になる」ということが信じられていました。

なので産まれて数か月の赤ちゃんに対して採血によるアレルギー検査を行い、特定の食物に対して数値が上がっていればその食べ物を食べさせないようにするということが行われていたのですが、実はこういった行いが逆に食物アレルギーの患者を増加させていたという何とも皮肉な結果となっていました。

逆に食物制限を推奨していていた国と比べて、制限を行わずなんでも食べさせていた国においては特定の食べ物に対するアレルギー発症率が少ないという調査結果や、小児の食事制限よりも周囲の人間が特定の食べ物を食べていることの方がその食べ物に対するアレルギーを起こしやすいという調査結果も出てきました。つまり周囲に食べ物のカスが多い環境で皮膚からこういった食事の成分が侵入することで経皮感作を生じ、即時型のアレルギー反応を起こすということが様々な調査結果で明らかとなっていきました。

特にわが国においてこの経皮感作という現象を世に知らしめ、社会問題にまで発展した事件がありました。

それが「茶のしずく石鹸」使用による小麦アレルギーの事件です。

この石鹸には小麦由来の成分が含まれています。皮膚バリア機能の低下した皮膚からこの石鹸に含まれる小麦成分が侵入することで小麦に対する「経皮感作」を生じ、結果として小麦製品を食べることで喘息・蕁麻疹・下痢といった症状を引き起こしたり、重篤になるとアナフィラキシー症状を呈する患者さんが発生してしまったのです。

残念なことに経皮感作と腸管免疫寛容については世間の皆さんの間にはまだまだ広く伝わっていないようで、未だに幼少期からの食事制限療法がおこなわれています。食事制限療法を継続してしまうと結局は腸管からの免疫寛容が成立しないためアレルギー症状が長く続いたり、結果として食物による重篤なアレルギー症状へとつながる可能性があります。

生後5カ月目くらいから離乳食が始まる時期です。口周りに離乳食が付着したり、手づかみで食事をするということは皮膚から食事の成分が侵入し経皮感作の原因となります。それを予防するには食事前に口周りや手にあらかじめワセリンを塗って皮膚を保護してからご飯を食べさせるという方法があります。また食後も食事成分で汚れた皮膚は速やかにキレイに洗ってしまいましょう。あまりゴシゴシ拭くとかえって皮膚を傷つけ、バリア機能を破壊してしまうので濡れタオルなどで優しく拭くように心がけてください

 

それでは今日も健やかな肌で素敵な1日を過ごしていきましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うーん、最後のコマの「鍛える」は言い過ぎかもしれませんね(笑)

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