皮膚バリア機能低下による皮膚のかゆみ | 福岡県福津市の『よしき皮膚科・形成外科』(アトピー性皮膚炎・巻き爪の治療、美容脱毛など)

診療所日記

皮膚バリア機能低下による皮膚のかゆみ

台風が去り、急激に温度・湿度とも低下してきました。

徐々に乾燥が原因となる皮膚の痒みを訴える患者さんが増えてきています。

なぜ空気が乾燥すると皮膚が痒くなるのでしょう?

加齢や保湿機能の低下する病気をお持ちの患者さんの皮膚では皮膚の潤いが低下した状態、「乾皮症」を呈しています。

この状態は皮膚のもっとも外側のバリアが破壊された状態です。

すると外部から様々な物質が皮膚を通じて侵入してきます。

人間の体は外部からの侵入者を排除する機能「免疫機能」が備わっているため、これら外部からの物質をなんとか排除しようと頑張ります。

このとき人間の体は「炎症」を起こし、異物だけでなく異物の付着した皮膚ごと排除しようとしてしまいます。

「湿疹」とは「異物に侵された皮膚を自らの体が破壊している状態」と考えてください。

まず最初に起こる原始的な免疫反応は「掻把行動」です。

つまり「掻く」ことで皮膚に付着した異物を皮膚ごと除去しようとします。

これで収まれば問題ないのですが、過度の掻把を繰り返すと皮膚のバリア機能はさらに低下してしまいどんどんと異物の侵入を許してしまいます。

つまり 掻把→バリア機能の破壊→異物の侵入→炎症→掻把→バリア機能の破壊→異物の侵入→炎症 ・・・・ と悪循環に陥ってしまいます。

まずはこの悪循環の輪を断ち切るために炎症を抑える必要があります。

この時使用するのが「ステロイド外用剤」ということになります。

湿疹を形成している状態では保湿剤のみでは炎症をとめることはできず、上記の悪循環を延々と繰り返すだけということになります。

「カサカサしているので保湿をしているのですが、湿疹・痒みが良くなりません」

という状態ではステロイド外用剤を用いて速やかに炎症を鎮静化させる必要があります。

湿疹病変が改善してきたらステロイド外用剤を中止し、保湿をしっかり行うことでこれらの痒みをコントロールしていくことが可能です。

 

もともと皮膚の保湿機能・バリア機能の低下している患者さんは保湿剤などでなるべく皮膚のバリア機能を良い状態に保つことが重要です。

バリア機能を維持する方法は保湿剤を外用するのみではありません。

良く見かけるのが「皮膚のこすりすぎ、洗い過ぎ」の状態です。

これは皮膚のバリア機能を破壊することにしかなりません。

ちょっとした日常の習慣を改善するだけでも乾燥による皮膚の痒みは劇的に改善します。

どのように体を洗ったらいいのか?ということについてもお気軽にご相談ください。