おはようございます!よしき皮膚科・形成外科、院長の吉木です。
それでは本日の診療所日記をお届けいたします。
「掻いたらダメってわかってるんですが・・・」
と、おっしゃる方がいらっしゃいますが掻く行動を抑えることは難しいです!
というのも痒み刺激が生じた部位を掻くという行動は生理学的に生体に備わったシステム自体が関与しているからです。
掻くということは皮膚を傷つけることに他なりませんので、当然痛み刺激も発生します。
この痛み刺激を伝える信号が痒み刺激を伝える神経の伝達を抑制することが分かっています。
痒み発生→掻く→痛みが生じる→痒み刺激の抑制という経路が生体内に備わっていることがまず一つ。
そして掻くと気持ちいい感覚が生じます。
これも脳が「お、掻いたね?ヨシヨシご褒美をあげよう♪」と報酬を与えるようにできているためです。
このように生体に備わったシステムと脳からのご褒美が得られるので我々は掻くのです。
そもそも掻くという行動自体も皮膚の免疫システムの一部として機能しています。
掻く行動とは、掻くことによって湿疹を生じて破壊された自分の皮膚そのもの皮膚や、皮膚から侵入しようとする異物を排除する行動です。
もはや本能のとしての行動なのでなかなかやめられないのです・・・。
それでも過剰に掻きむしってしまったら皮膚は傷だらけになってしまい、そもそも皮膚の持つバリア機能がどんどん破壊されてしまうためやはり病的な状態においては炎症反応を止めるために様々なお薬を使用して過剰な掻破行動を抑える必要があります。
残念ながら解熱剤のように「飲んで完全に痒みを止める薬」は存在しません。
抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬については蕁麻疹による痒みには有効ですが、湿疹の痒みについてはごくわずか抑えるかもしれないという程度の効果しか期待できないのが現実です。それでも少しでも掻痒感の改善を期待して処方することもあります。
今のところ痒みを劇的に改善するお薬としては注射によるものがありますが、定められた期間ステロイド外用剤や抗ヒスタミン薬を使用しても痒みが改善しないアトピー性皮膚炎の方にしか対象になっておらず、すべての人に対象となるわけではありません。
「安価で経口投与できるかゆみ止め」が早く開発されて世に出回ってほしいところですね!
それでは今日も健やかな肌で素敵な1日を過ごしていきましょう!