ニキビの治療 ~アダパレンゲルを用いたニキビの治療~ | 福岡県福津市の『よしき皮膚科・形成外科』(アトピー性皮膚炎・巻き爪の治療、美容脱毛など)

診療所日記

ニキビの治療 ~アダパレンゲルを用いたニキビの治療~

当院にはニキビでお困りの患者さんも多数来院されます。

皮膚の脂は毛穴から出てくるということをご存知でしょうか?

ニキビの原因は様々ですが、元をたどると「毛穴が詰まって脂が溜まる」ということがおおもとの原因です。

毛穴にたまった脂が大好きな菌(アクネ菌、ニキビ菌)が毛穴で炎症を起こすことで赤い膿をもったニキビになってしまいます。

現在ではこの「毛穴のつまりを解消して脂の塊を無くす」ということがニキビ治療の基本となっています。

つまりは赤く化膿したニキビをなるべく作らないようにすることで炎症によって生じる「きずあと・瘢痕」を作らないということがニキビ治療で最も大きな目的とされています。

この毛穴のつまりを解消する塗り薬がアダパレンゲル(ディフェリンゲル®)です。

アダパレンゲルを使用した治療経過に関して患者さんの同意を得た上でこちらにご紹介します。(無断転載は決して行わないでください)

 

まずは治療前の状態です

beforebefore 2

 

こちらの患者さんは長年炎症を起こしたニキビでお困りであり、ニキビ跡も気になるとのことで来院されました。

アダパレンゲルの1日1回外用と硬いニキビ跡を解消させるためトラニラストという内服薬も併用し治療を開始しました。

そしてこちらが1年2か月後の状態です。

after after 2

 

炎症を起こしたニキビがほとんど生じなくなったことと、トラニラストの効果により硬いニキビ跡がほとんど消失しているのがお分かりいただけますでしょうか?

またニキビ跡による皮膚の凹凸も劇的に改善しています。

この患者さんはニキビがほとんどできなくなった現在でも継続してアダパレンゲルを外用していただいています。

そうすることで「毛穴のつまりを解消し、新たなニキビの発生を抑える」ことを維持できます。

 

このようにアダパレンゲルの効果というのは「炎症を起こしたニキビの治療」だけでなく

毛穴のつまりを常に解消することでニキビができにくい肌質を維持することができるというお薬です。

それまでは化膿したニキビに対して抗生剤の投与を行ったり溜まった膿を針で刺して排膿するという処置しかありませんでした。

しかし化膿したニキビは必ず傷跡・瘢痕を生じてしまいます。

生じてしまった傷跡を完全に消去することは不可能であり、特殊なレーザー(フラクショナルレーザー)で少しでも目立たなくすることしかできません。

(もちろんレーザーを使用したニキビ跡の治療は保険外診療となります)

 

わが国では薬局や通信販売などで簡単に「ニキビ治療をうたったお薬」が手に入るため、多くの方はそちらのお薬をまずは使用されるのですが

そのほとんどの患者さんはそのお薬の効果を実感できないままニキビの化膿を繰り返し

皮膚科に来院されるときはすでにたくさんのニキビ跡を生じています。

このようにニキビで一番問題となるのはニキビがおさまった後に生じる「ニキビ跡・傷跡」です。

傷痕をなるべく作らないようにするためにもニキビ治療は皮膚科で行うことを強くお勧めいたします。

 

さて、アダパレンゲルの良いところばかりをお話してきましたが

このお薬は外用開始から2週間ほどヒリヒリしたり赤くなったり皮膚がパサパサするなどの不快な症状を伴います。

アダパレンゲルが効果を発揮するとどうしてもこのような症状を伴います。

この症状が原因でアダパレンゲルを継続して使用できる患者さんは全体の7~8割程度と言われています。

(院長も使用してみましたが、かなりヒリヒリしました)

この症状については使用を重ねるとともに徐々になくなっていくのですが患者さんにとってみれば非常につらい期間を過ごすことになります。

この期間は「しっかり保湿をする」ことである程度症状を緩和することができます。

またもうしばらくするともっと刺激の少ない、同効果のお薬も世に出てくることがわかっています。

ニキビ、まずは皮膚科での治療を行うようにしてください。