尋常性乾癬に関する研究論文が掲載されます | 福岡県福津市の『よしき皮膚科・形成外科』(アトピー性皮膚炎・巻き爪の治療、美容脱毛など)

診療所日記

尋常性乾癬に関する研究論文が掲載されます

尋常性乾癬に関する研究論文が“Journal of Investigative Dermatology”という雑誌に掲載されることになりました。

マウスを用いた実験で、「ランゲルハンス細胞という免疫担当細胞が乾癬の皮疹形成に非常に大きな役割を果たしている」という内容の論文です。

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私は大学病院で皮膚がんなどの皮膚腫瘍切除を中心に行っていました。

研究の世界に入ったのは些細なきっかけでしたが、何よりも上司にも恵まれ皮膚の免疫・アレルギーに関する研究を行うことにもなり

アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬などに関する、皮膚の免疫反応を調整するための新たな治療法を見出すという課題をいただいて研究を行っていました。

日中は外来業務、または手術室で手術を行い夕方から夜にかけて免疫に関する研究を行うという生活を続けており、正直辛い時もありました。

しかしそのおかげで手術だけでなく様々な皮膚疾患に対応できる基礎が培われたと実感しています。

 

ところで私がなぜ尋常性乾癬に興味を持ったのか?というところですが

皮膚がんの一つに「有棘細胞癌」という皮膚がんがあります。

この皮膚がんは皮膚の一番外側の細胞が癌化してしまい、無制限に増殖するという性質を持っています。

じつは尋常性乾癬の皮膚は通常よりも何倍ものスピードで増殖しているのですが

「なぜ尋常性乾癬の皮膚細胞は癌化しないのか?」という疑問を常々抱いていました。

また乾癬の特徴の一つに「こすれたり圧迫された部位に乾癬の皮疹が生じやすい」という非常に特徴的な現象(ケブネル現象と言います)があり

なぜそのような現象が生じるのか?という疑問が乾癬研究のきっかけでした。

 

今回の研究成果はあくまで乾癬の病態解明に役立つ一つの現象を解明しただけにすぎません。

しかし今後この結果から乾癬の根治療法につながるような新たな治療法が解明される一助にでもなれば研究者冥利に尽きます。