非常に暑い日が続いています。

皆様、熱中症には特にお気を付けください。

またこの時期、皮膚科領域で特に取りざたされるのが「紫外線対策」です。

太陽から発せられる光の中に含まれる紫外線は皮膚の老化(光老化)の原因であり

さらに長期間紫外線に暴露されることは皮膚がんの発生にもつながります

外へ外出する際には帽子をかぶる、日焼け止めクリーム、日焼け止め成分の入った化粧品を使用する

可能であればサングラスを着用するなどの紫外線対策はぜひ行ってください。

 

さて、紫外線の作用について嫌なことばかりを書きましたが実は紫外線の持つ「とある作用」は

皮膚の免疫バランスが崩れることによって生じる皮膚科疾患の治療に対して非常に効果があります。

紫外線の「とある作用」というのは「免疫抑制効果」です。

以前より「アトピー性皮膚炎」「尋常性乾癬」に対して紫外線を照射すると皮膚の症状が改善するということは知られていました。

なぜ紫外線照射により免疫抑制効果が生じるのか、そのメカニズムは長い間謎でしたが、私が産業医科大学在職中に

「皮膚のランゲルハンス細胞が調節性Tリンパ球を誘導することにより免疫抑制を誘導する」ということを発見、報告しました

(このあたりの詳細な機序に興味をお持ちの方は右のリンクをクリックしてください よしき皮膚科・形成外科~院長の日記~ )

 

しかし冒頭に書きましたように、紫外線には免疫抑制効果以外の光老化・光発がんといった作用も含まれます。

そういった光老化や光発がんの影響を最小限に減らし、なおかつ高い治療効果を追求して開発されたのが

「ナローバンドUVB照射装置」です。

ちょっとむつかしい話になりますが、UVBという光は特定の領域波長をさしし示します。つまり、ある程度「幅の広い(broad band; ブロードバンド)」波長を有しています。

その中でも特に有害な成分をカットし、治療効果の高い、「幅の狭い」(narrow band; ナローバンド)波長の光のみを抜き出して照射できるのが

ナローバンドUVB照射装置です。

 

アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬に対する治療の基本は塗り薬の治療になります。

いずれの病気も皮膚の免疫バランスの異常を整えるためにステロイド外用剤を基本とした外用治療が必要です。

うまく疾患がコントロールできて長期間ステロイド外用剤を使用しない状態であったり、一部のみに外用剤を使用する状態を維持できればよいのですが

どうしても長期間のステロイド外用剤を使用しないと皮膚のコントロールが難しい患者さんもいらっしゃいます。

そのようなときに紫外線治療を併用することで使用するステロイド外用剤の量を減らし、ステロイド外用剤の長期間使用に伴う副作用を軽減させることができます。

 

しかしあらゆる治療行為には程度の大小はあれど体に負担をかけることがあります。

例えばナローバンドUVB治療についても限度を超えて大量に照射することは、ひどい日焼け(やけど、熱傷)を引き起こします。

ステロイド外用剤についても適切に使用すればこれほど優れたお薬はないのですが、限度を超えて大量に外用すると世間で言われているような

様々な副作用(皮膚が薄くなる、毛が濃くなる、ニキビのような状態になる)を引き起こします。

何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。

様々な治療法について作用、副作用を理解し、現在の病気の状態にあった適切な治療を提供するのが我々医師の務めです。

ある治療行為によって得られる「良いこと(治療効果)」とそれに伴って生じる「嫌なこと(副作用、合併症)」を秤にかけて

「良いこと」が「嫌なこと」を上回らないことには患者さんにはその治療法を提示したりお勧めすることはいたしません。

もし治療法などに疑問が生じた場合はいつでもご相談ください!